越前とは(Prologue)

越前市Traditional Areas

福井県のほぼ中央に位置し、230.7km2の地域に約8万人の人々が住んでいます。地形は東に越前中央山脈、西に丹生山地、南に「越前富士」と呼ばれる日野山のある400〜700m級の山々に囲まれた盆地で、その中央を南北に流れる日野川は、下流で九頭竜川と名を変えて日本海へ注いでいます。典型的な日本海側の気候で、冬は降雪量が1mを超えることもあり、豊富で清らかな水が、古くから工芸や豊かな田園を育みました。
越前市は、2005年(平成17年)に武生市と今立町が合併し誕生しました。この地域の歴史はとても古く、即位1500年を迎えた継体天皇の伝承が各地に残っています。「越の国」の時代から、旧武生市には越前国府が置かれて政治・経済・文化の中心地として栄え、旧今立町には越前和紙や越前打刃物、越前箪笥などの産地として工房や商店がたくさん集まっていました。伝統的な工芸がいまなお盛んに行われ、住民の多くが職人として活躍しています。

越前と工芸Sacred place for Traditional Crafts

越前市には、この地域の風土に根ざし、職人たちによって長年にわたり受け継がれてきた伝統産業がいくつもあります。国の伝統的工芸品にも指定されている「越前和紙」「越前打刃物」「越前箪笥」などです。
越前和紙の始まりは1500年ほど前。今立五箇を流れる岡太(おかもと)川の上流に美しい姫があらわれ、村人に紙漉きの技を教えたといわれます。以来、人々はこの姫を「紙祖神川上御前」と敬い、美しく多様な和紙を漉き続けています。
越前打刃物は、日本古来の火づくり鍛造技術と手仕上げによる工程を、約700年も守り続けています。近年は包丁やテーブルナイフがヨーロッパをはじめとする世界の一流レストランやシェフの間で高い評価を得ています。
越前箪笥は、江戸時代後期にその技法が確立されました。ケヤキやキリなどの無垢材を独自の指物技術によって組み手加工し、鉄製の飾り金具や漆塗りで装飾した重厚なつくりが特徴です。
越前市内にはこれらの伝統的な工芸の工房がたくさん存在し、中には職人の仕事の見学や体験ができる工房もあります。

越前の魅力Looking through the hidden Origin of Japan

7世紀〜8世紀頃につくられた日本最古の和歌集「万葉集」の歌にも登場し、1000年以上に渡って読み継がれている日本文学「源氏物語」の作者 紫式部も滞在した越前市は、奈良や京都の文化とも深い関わりがあります。戦時に空襲をまぬがれたため、歴史の面影をとどめる古いまちなみや寺社が数多く残り、積み重ねられた時代を、まちを歩きながら感じることができます。また、春の桜に始まる四季折々の野山やコウノトリが生息する田園の風景、美しい水など自然環境にも恵まれ、その中で豊かな食文化も育まれています。とくに辛み大根のおろしを添えた越前そばは、店ごとに少しずつ違う個性を楽しめる郷土食です。伝統的な工芸や共同体とひとつになった神事・祭りも住民によって大切に守られ続けています。いにしえの時代から続くゆったりした時間の中で、知るほどに味わい深い越前の旅をお楽しみください。

越前の風景Landscapes of Echizen